「ある夜3人の俳優たちから冨樫監督にメールが届いた。“俺たちの映画を撮ってくれませんか”。ちょうど同じ夜、冨樫監督は3人宛にメールを送信していた。“私と一緒に映画をやらない?”軽々しく奇跡などとは言いたくない、こんな出会いを経て、映画「息ができない」は始まった。
自分たちのリアルが反映された、俺たちが本当に見たい映画を作ろう。
俳優として一人前になろうとバイトしながらレッスンに励む日々、しかし努力はそう簡単に報われはしない。この悔しさを土台にして、なんとか俺たちの本当のことが映画作品に昇華できないか、ただしそれをみみっちいあるある話としてではなくてさ。監督と共に模索の時間が続き、映画は次第に形を成していった。それに今回は内容だけではなく、制作面も全部自分たちで築き上げねばならない。持ち出しはもちろん、寄付や大学研究費、クラウドファンディングなどを駆使して、作品の外側を埋めて行く。まさに映画作りを一からやってみました、である。
こんな“思い”に賛同して参加してくれたのが、クレジットに名を連ねるスタッフ・キャストたちである。まずは脚本の窪田信介。窪田は監督の走り書きでしかなかった小さなストーリーを、見事に3人の話に仕上げて見せている。撮影は監督の盟友・鈴木周一郎。鈴木はとてもチャレンジングなキャメラで初主演の3人の俳優たちを見つめ、照明・斉藤の大胆な光の力も相まって、素晴らしい画を作り出している。音楽は大友良英、冨樫監督の「ごめん」での出会いを経て「息ができない」にも快く参加、ノアールな雰囲気と疾走感溢れる楽曲を提供してくれている。録音は名古屋から参加した出口藍子、編集は「おしん」を仕上げた西尾光男、助監督に自主映画界から白田誠哉が加わった。また撮影の大部分が監督の地元・山形県鶴岡市で行われ、10年以上に渡って監督の鶴岡での撮影を取り仕切る丸山典由喜がプロデューサーとして、組全体をまとめ上げている。
キャストでは、葉丸あすかが祐二を闇に導くメフィスト役を怪演。ワークショップで知り合った遠山泰市、鶴岡在住の佐久間としひこが脇を固め、作品のダークサイドを担っている。また冨樫組の常連である本間淳志、久保寺淳、上田実規朗、二階堂新太郎らが顔を連ね、しっかりした芝居で作品を支えてくれている。
嵐のようなコロナ禍が続く中、どんな状況でも俺たちは俺たちの映画を撮るんだという決意表明でもあり、だからこそ自由に、これまでの制約に一切縛られることなく、映画の面白さの原点を捉えようと挑戦している。俳優3人の感性が爆発し、みずみずしく、悔しさとそして勇気と希望に溢れた作品が誕生した。
引きこもりの兄を田舎に見捨てたまま俳優になろうと生きる関祐二、オーディションを受けても誰にも認められず、ドン底の生活に落ちる。ある女に誘われるまま、祐二は別人になりすまし違法に多額の報酬を得る。危険な仕事とは分かりつつ、目が眩むように深みにハマる祐二。鏡に映る自分は一体誰なのか・・・・?
ある日いつものように金を降ろしていると「関くんだよね?」と声を掛けられる。信金の窓口の女・熊井明日香だった。明日香は素性をバラさない代わりに金を半分寄越せと迫ってくる。
祐二の人生が狂い始め、壮絶なラストへと突き進んでゆく。
映画監督として随分長い時間が過ぎましたが、初めての自主製作作品です。最も親しい信頼するスタッフキャスト達と共に撮りました。私の映画に対する思いが鮮明に刻印されるよう、心を込めて現場に臨みました。演技とは何か、映画の面白さとはどういうことか。ずーっと考えて来た事を決して辛気臭くないエンターテイメントとして結実させました。
どうかご覧になって下さい。
初号試写を見て、この映画には言葉にできない「映画の文脈を超えた衝動」が映っていました。
この映画は僕らが、人生で本当にやりたい人とやりたいことをやった極めて純粋な映画です。
この映画と役に人生すべてをつっこみ、命を懸けた姿が映っています。
僕以外にこの役は演じられません。
関祐二は白木孝宜で有り、白木孝宜は関祐二です。
劇場で見る事を命を懸けてお勧めします。
キャスト
関祐二 白木孝宜
関浩一郎 丸林孝太郎
熊井明日香 村上真衣
劇中監督 本間淳志
劇中プロデューサー 久保寺淳
劇中AP 内山由香莉
劇中助監督 西原やすあき
居酒屋店長 当来庵
アパート住人 森羅万象
三好の叔母 三浦久枝
司法書士 みやたに
ヘッジファンドの男 上田実規朗
タクシー運転手 二階堂新太郎
元カノ 國嶌りょう
信金職員 菅原比路美
菅原純子
菅原さくら
岡部広樹
金融機関 阿部真理子
鎌田すかい
渡辺渡
中村しおり 佐藤舞子
救急隊員 佐々木将志
龍巳
教習ビデオの運転手 山中絃也
組織の男A 遠山泰市
組織の男B 佐久間としひこ
恩田 葉丸あすか
スタッフ
脚本 窪田信介
撮影 鈴木周一郎
照明 斉藤徹
録音 出口藍子
編集 西尾光男
助監督 白田誠哉
鶴岡プロデューサー 丸山典由喜
プロデューサー補 佐久間利彦
制作部 丸山京介
田淵大輝
録音助手 長屋萌子
編集助手 丸山友生
カラーグレーダー 稲川実希
サウンドデザイン 山本文勝
スチール 根矢涼香
宣伝デザイン 矢島拓巳
劇中ステッカーデザイン 松尾豪
ホームページ制作 吉田隼也
台本印刷 三交社
特別協力
鈴木芳夫 佐久間利兵衛観光農園
笹川たか子 笹川由貴 和佐運送
桜美林大学共同研究プロジェクト
ロケ協力
日本映画大学 ます家 (株)大成
(株)ヒットコーポレーション
(株)阿部多不動産 旬暦彩鶴
庄内たがわ農業協同組合
(佐藤英喜 齋藤学)
セブンイレブン鶴岡南バイパス店
NPOつるおかランド・バンク
いでは文化記念館 斎喜自動車
協力
M&N CO. 東洋照明 桜美林大学
(株)ミシェルエンターテイメント
片倉直子 大須賀宗子 あべひ
桜美林大学共同研究プロジェクト
美術製作 Ibuki World
吉田隼也 秋山圭佑
美術協力 中田森也
Neelu Tadisetty
祝井竜太
(有)フレックス
衣装協力 稲生遼 夏目 寺西涼
メイク協力 金森恵
振付 平川瑠華
ドローン 佐藤司
製作協力 藪田真衣 渡邉梨香子
音楽 大友良英
演奏 大友良英(ギター・ベース)
イトケン(ドラムマシーン)
松丸 契(ソプラノサックス)
音楽録音・ミックス 大友良英
音楽制作 佐々木次彦
製作・監督 冨樫森